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2024年7月17日

1.建設業で起こりやすい不正行為の態様

 建設業で起こりやすい不正行為は、水増し請求による方法のようです。今回は、この水増し請求の方法による不正行為について、詳しく見ていきます。

2.建設業における水増し請求の具体的な方法

 建設業でよくある水増し請求は、下請け会社が元請け会社に対し、実際にかかった工事金額よりも多額の金額を請求するものです。この場合、元請け業者従業員Xと下請け業者従業員Yが結託して行われることが多いようです。つまり、XとYが事前に相談した上で、下請け業者から元請け業者に対し、実際にかかった費用よりも高額の請求書を発行させ、元請け業者から下請け業者に対し、その金額の支払いをさせます。そして、実際の工事費よりも上乗せした部分については、XとYとで利益を分配するのです。工事金額を上乗せする方法としては、人工の数を増やしたり、材料費を上乗せしたりする方法が多く見受けられます。また、このような不正行為が発覚しないように、帳簿に虚偽の記載をすることも併せて行われます。

3.違法なキックバック(リベート)について

 上記の水増し請求がなされる場合、しかも元請け業者従業員Xと下請け業者従業員Yが結託している場合には、XがYに対して協力のお礼としての違法なキックバック(リベート)を支払うことが一般的です。Yは、このようなキックバックをうま味として、不正行為に協力してしまうのです。

4.水増し請求は詐欺罪が成立し得る

 このような行為は、本来であれば支払わなくてよかった金額を元請け業者に支払わせる行為ですので、元請け業者従業員であるXには、元請け業者に対する詐欺罪が成立し得ます。また、Xと事前に相談した上で結託したYにも、Xの共犯者として、元請け業者に対する詐欺罪が成立し得ます。
 このような水増し請求が発覚して証拠を押さえられる頃には、水増し請求が常態化していて被害額が多額にわたっていることが多いので、実刑も含めた厳しい刑事処分が科される可能性があります。

5.水増し請求に対する予防策

 さて、このような水増し請求による不正行為を予防するためには、どのようにすればよいでしょうか。
 最も有効なのは、経理担当者を複数名とする、あるいは営業担当と経理担当を別人とし、互いにチェックするなど、管理体制を整えることでしょう。上で見たとおり、水増し請求をするためにはまず、下請け業者が虚偽の請求書を発行する必要があります。請求書の発行事務に複数名が独立して関与するような体制が整っていれば、そもそも虚偽の請求書が発行されるという事態を防ぐことができます。このことは、元請け業者として代金支払いを行う場合も同様です。下請け業者から上がってきた請求書が正しい内容であるかについて、複数の目でチェックする体制を作っておくことが重要です。
 他方、人員の都合で常に複数の目でチェックする体制を整えておくことは難しい場合もあるでしょう。その場合でも、経理や営業担当ではない人物が不定期に抜き打ちで経理関係を調べる仕組みができていれば、たとえ水増し請求が行われていたとしても、早期発見につながる可能性があります。この場合のチェックを担当する者は、取締役など、企業の利益を正しく優先できる方にするべきでしょう。このように、できれば常時、難しければときどきでもよいので、経理について複数の目でチェックする体制を構築しましょう。
 その他の予防策については、こちらの記事も参考にしてください。 従業員による横領行為の防止策 | 横領被害の相談は刑事事件に強い弁護士法人グレイスへ (keijikokuso.com)
 どの予防策が効果的なのかは、会社の規模や事業内容によっても様々です。大きな被害に遭う前に、常時相談可能な顧問弁護士の依頼を検討したり、弁護士に相談したりしてみてください。

6.水増し請求を受けた場合の対処法

 水増し請求の被害にあった企業としては、これらの行為の証拠を収集し、被害届の提出・告訴や、懲戒解雇の検討、損害賠償請求の検討などをすることとなります。いずれの手続をどの順番で行うか、また、例えば損害の賠償をした場合には被害届提出・告訴は行わないようにするなど交渉をどのように運ぶかは、まさに専門家である弁護士の助言を受けながら検討することが必須といえるでしょう。
 特に、企業が自ら収集した証拠を基に、自らの判断で懲戒解雇をすることは控えた方が良いです。企業に経済的損害を与える犯罪行為をはたらいた疑いがあるからといって拙速に行動することなく、訴訟において有効な証拠が集まっているといえるか、また、懲戒解雇に先立つ告知・弁明の機会付与などの適正手続がとられているかなど、必ず弁護士の視点からの助言を受けてから行動をとる必要があります。
 建設業においては常に水増し請求のリスクが伴います。お困りの際に緊急でも相談にのってくれる顧問弁護士をつけることを、是非ご検討ください。

【著者情報】


2001年 京都大学法学部 卒業

2014年 ボストン大学ロースクール修了(LL.M. in Banking & Financial Law)

北陸電力株式会社、検察官を経て、2007年に弁護士となる

以後約16年間シティユーワ法律事務所に所属し、2023年より弁護士法人グレイスにて勤務

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