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1. 従業員による横領を防止しましょう

従業員による横領行為は、全国各地至るところで起きており、後を絶ちません。しかし、それらを分析すると、いくつかの特徴ないし共通点が浮かび上がってきます。
裏を返せば、これらの共通点を押さえた予防策を採っておけば、従業員による横領行為を未然に防いだり、仮に被害に遭ったとしても早期に発見して、被害を最小限に抑えることができるはずです。

2. 横領被害に遭う会社の共通点

そこで、横領被害に遭った会社の共通点を見ていきましょう。
まず挙げられるのは、①営業部門と管理部門が分離されていないという点です。
組織としての理想形は、営業部門と、営業部門がした取引をチェックする管理部門が存在し、かつ、これが分離していることです。もっとも、よっぽどの大企業でない限り、このような体制が取られているところは多くはなく、たとえば支店長自身が営業活動を担い、かつ、日々の売上げを管理しているというのが実情でしょう。このような営業部門と管理部門の分離がされていない職場は、管理機能が働かないため、不正行為の温床となりやすいという特徴が挙げられます。

次の共通点は、①とも関連しますが、②出金が1人ないし特定少数の従業員のみでできてしまう体制です。
小口現金にせよ預金にせよ、従業員が1人で出金できたり、あるいは、その従業員が懇意にしている部下に一声かければ出金することができるような体制になっている場合、やはり、不正出金の温床となってしまいます。

更に挙げられる共通点は、③定期的な人事異動がないという点です。
1人の人物が何年も継続して同じ業務を担当している場合、経験や知識の蓄積により、業務が効率的に進むというメリットがあることは否定できません。他方で、不正が発覚するタイミングとして多く見られるのが、突発的な人事異動の後です。つまり、異動が決まると、不正をしていた従業員は当然、それまでの不正行為の痕跡を隠ぺいしようとするわけですが、十分な時間がなく、隠ぺい工作に隙があったために、新しく異動してきた人が不正を発見するというパターンです。

そのほかにも共通点は見られますが、大きな共通点として挙げられるのは、上記3点だと言えるでしょう。

3. 横領被害に遭わないためのポイント

このように、横領被害に遭う会社には、いくつかの共通点が見られます。
では、このような共通点を潰し、横領被害を防ぐためには、具体的にどのような方法を採ることができるのでしょうか。

まずは、営業部門と管理部門を分離することが重要です。様々な事情から、部門制を採る必要はないと判断される場合であっても、たとえば、現金や預金の出金が必要かどうかという営業判断をする人と、営業判断について許可(管理)する人とを分けることは必要です。そして、この許可(管理)する人は、経理担当、つまり、実際に入出金業務を行う人とは別の人物がよいでしょう。役割分担をすることで、1人の従業員が自由に会社のお金を扱うことができないようにする仕組みが必要です。

加えて、ただ役割分担をするだけではなく、出金に際しては原則として、許可(管理)する人に対する書面による事前申請を必要とし、事前申請が間に合わなかった場合に限り、事後的な申請を認めるとするのがよいでしょう。かつ、事後申請の場合には、出金伝票と領収書等の資料の提出を必要とするとすれば、より効果的です。そして、これらの事前申請又は事後申請がなされた出金のうち、許可(管理)する人の決裁印があるものに限り、経理担当が出金の手続き採るという仕組みを徹底するのがよいでしょう。これは、根拠なく会社のお金が出ていくことを防ぐ仕組みです。
とはいえ、日常的に発生する小口の取引については、いちいちこのような方法を採ることが煩雑な場合もあるでしょう。そのような場合には、事前決裁制度を採らないとしても、定期的に通帳履歴を確認したり、金庫内の現金の残高を確認することが必要です。

また、従業員に対する教育も重要です。不正を働く従業員の中には、最初は、少しくらい会社のお金を使ってもすぐに返せば大丈夫だろうという軽い気持ちで横領に手を染め、次第に感覚が麻痺して横領金額が多額になり、返すにも返せなくなった結果、警察に逮捕されたという人が多くいます。そのため、日頃から従業員に対しては、少額で、かつ返すつもりがあっても会社のお金を流用することは横領になり得ることや、最悪の場合、何年も刑務所に入らなければならなくなることなどについて、専門家の話を聞く機会を持たせるなどの教育をしておくことがよいでしょう。

そのほかにも、会社の規模や業態などに応じて、適切な予防策が考えられます。ご自身の会社にとってどのような予防策が適切なのか、一度弁護士に相談してみるのはいかがでしょうか。

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