横領を予防したい
1 横領が起こらないようにする体制を整える
企業内での従業員や役員の横領は、企業に経済的な損失を与えるだけでなく、企業に対する社会的な信用も失わせます。
そのため、従業員や役員の横領が起こらないようにする体制を整えることが重要になってきます。
2 内部監査部門を創設する
内部監査部門を作り、横領を含む不正行為全般を監査、監視する体制を整えることは、会社内での横領を防ぐ有力な方法です。内部監査部門が定期的に監査を行うことは、従業員の横領に対する抑止力になりますし、横領の早期発見にもつながります。
規模の大きな会社であれば、内部監査部門を作ることが、会社内での横領を防ぐ有力な選択肢になります。もっとも、内部監査には、法律や会計の専門知識が必要になりすので、これらに精通した人材を配置しなければなりません。規模の小さな企業では、このような人材の確保が困難であったり、利益に直結しにくい部門にどれだけのコストをかけるのかという問題もでてきます。
3 研修
従業員に対するコンプライアンス研修を行い、どのような行為が横領に当たるのか、横領を行った場合のリスク等を周知させることは、会社内での横領を防ぐ方法の一つといえます。
また、会社内で横領が疑われる行為を従業員が察知した場合、どのような対応をとるべきか(どの部署に通報するのか等)という点についても、研修で周知しておけば、横領行為が起こったとしても、会社が早期に対応することができるようになります。
4 ダブルチェック
経費の支出等が、特定の個人で完結できる状態は、横領等の不正行為を行いやすい状態といえます。経費の支出等、何らかの財産の収受が伴う業務は、特定の個人だけが行うのではなく、複数名で確認して遂行することが望ましいと言えます。相互に確認することにより、横領等の不正行為がしにくくなりますし、一方の担当者に疑わしい行為があれば、もう一方の担当者からの通報も期待できます。
決済権者と、振り込み等の実作業者を分けることも横領等の不正行為の予防につながります。
5 役職・担当者のローテーション
特定の業務を、特定の個人が長期間担当していると、横領等の不正行為が発生しやすくなります。定期的に、役職や担当者を交代させることにより、後任者が前任者の不正行為に気付くことが期待できますし、実際に企業内の横領等の不正行為が発覚するのは、役職や担当者が変わった時というケースが多いです。
いずれは、担当が変わり、後任者が自分の不正行為に気付くかもしれないという心理的な制約が、従業員による横領等の不正行為を予防することにつながります。
6 弁護士に相談を
企業内の横領を防ぐ仕組みは、その企業の業務内容、規模等によって異なってきます。
横領等の不正の予防は、会社財産の毀損を防ぐうえでも重要ですし、対外的な信用という点でも重要な経営課題といえます。横領行為が発生してしまった場合は、犯人の処罰や損害の回復だけでなく、再発防止にも目を向ける必要があります。
弁護士法人グレイスは、約社の企業様の顧問弁護士を務めており、様々な業種の法務に精通しています。また、顧問先企業様の規模も、一人親方の企業様から、一部上場企業様まで対応しております。弁護士法人グレイスでは、企業様の業種、規模に適した不正予防の仕組みをご提案いたします。