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1. 刑罰を受けさせたい場合は告訴を検討しましょう。

従業員が横領した場合の対応手段の1つに、(刑事)告訴があります。

告訴は、警察に対し、「このような犯罪被害に遭ったので、犯人を処罰してください。」と申し出ることです(なお、検察庁に告訴をすることもできますが、例外的な場合です。まずは警察に告訴をすることを検討しましょう。)。

では、告訴をしてから犯人が刑罰を受けるまで、具体的にはどのような流れで進むのでしょうか。

2. 告訴と刑罰の関係

警察は、告訴があると、犯罪が成立しないことが明らかなどの場合を除いて、告訴を受理して捜査を開始しなければいけないとされています。他方、「それは犯罪ではなさそうだ。」とか、「犯罪ではありそうだけど時効が完成しているようだ。」などと判断した場合には、告訴を受理する必要はありません。

警察が告訴を受理した後は、捜査を行います。ひととおりの捜査を終えると、警察は、その事件を検察庁に送ります(これを「送検」といいます。)。事件を受けた検察庁は、更に捜査を尽くした上で、これを起訴するか(刑事裁判にする)、不起訴にするか(刑事裁判にしない)を決定します。

起訴されると、舞台が裁判所に移ります。最終的には、裁判所が有罪か無罪かの判断をし、有罪であれば罰金刑、禁固刑、懲役刑、死刑といった刑罰を宣告します。

このように、告訴は、犯人に刑罰を受けさせるための入り口ないしきっかけとなる、とても重要な手続きです。

3. 告訴はなかなか受理されない?

先ほど、警察は、犯罪が成立しないことが明らかなどの場合を除いては、告訴を受理することになっていると説明しました。建前上は、告訴は広く受理することになっているということです。

ところが、実際には、この原則と例外が入れ替わっています。

警察はとても忙しいので、全ての告訴を簡単に受理するわけにはいかないのだと思われます。全ての告訴を受理しなければならないとなると、本当に捜査すべき事件の捜査に手が回らなくなってしまうことも考えられるので、ある程度絞られることは、仕方のないことかもしれません。

そのような実情があるため、主張や証拠を整理しないまま告訴をしても、警察はまず受理してくれないでしょう。また、主張や証拠を整えて告訴をしたとしても、初回は告訴状などのコピーを取るだけで、初回から告訴が受理されることはないようです。特に、社内での横領事件など組織の内部での財産犯については、この傾向が強く、「後日警察から連絡します。」と言われたまま数か月が経ってしまうこともあります。

4. 告訴を速やかに受理してもらうためには

では、告訴を速やかに受理してもらうには、どうすればよいのでしょうか。

まずは、警察が事件を理解しやすいように、事件の内容を整理して説明することが必要です。

併せて、警察に、捜査を尽くせば起訴されて、有罪判決が出そうだと思わせることが重要です。

要は、警察に対し、告訴を受理してから有罪判決を受けるまでの道筋が見えるように、お膳立てをしてあげるのです。

このようなお膳立てをするためには、刑法などの法律知識が必要なのはもちろんのこと、刑事裁判実務や捜査の手法などについての知識や経験が豊富であることも必要です。

弊所には、10年以上検察官として、捜査に携わってきた弁護士が在籍しています。

告訴を考えている場合には、ぜひ一度、弊所にご相談ください。

【著者情報】


2001年 京都大学法学部 卒業

2014年 ボストン大学ロースクール修了(LL.M. in Banking & Financial Law)

北陸電力株式会社、検察官を経て、2007年に弁護士となる

以後約16年間シティユーワ法律事務所に所属し、2023年より弁護士法人グレイスにて勤務

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