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横領行為の態様別に重要となり得る客観的な証拠について、考えていきましょう。

1. インターネットバンキングを利用した不正送金

インターネットバンキングの普及に伴い、このシステムを利用した不正送金の事案が増加しています。

たとえば、会社の経理担当者で、普段からインターネットバンキングを利用して会社の口座の入出金業務に携わっている人物が、会社の口座から自分名義の口座に勝手に送金してしまうような事案です。この経理担当者を、ここではXとして話を進めましょう。

2. まずは、入出金履歴が重要です

インターネットバンキングを利用した横領で、最初に重要となる客観的な証拠は、もちろん、入出金履歴です。これにより、会社の口座から、横領した従業員Xの口座への出入金があったことを明らかにすることができます。

この入出金履歴は、口座の管理者である会社側から金融機関に対し、取引履歴の開示請求をすれば、入手することができるでしょう。

3. 入出金履歴だけで足りますか

では、この入出金履歴だけで、横領の証拠として十分でしょうか。

たとえばXが、①「誰かが勝手に自分の口座に入金した。自分は関与していない。」とか、②「便宜上自分の口座に送金したが、すぐに引き出して会社のために使った。」などと弁解した場合を考えてみましょう。

①のような弁解を、「犯人性の否認」といいます。要は、そのような行為をしたのは自分ではない、自分は犯人ではないということですね。

他方、②のような弁解は、横領行為自体の否認といってよいでしょう。横領は、他人の財物(物、お金、金券など)を、自分のものにしてしまう行為です。②は、お金を会社のために使ったという弁解ですから、自分のものにはしていないので横領ではないという言い分ですね。

入出金履歴は、会社の口座からXの口座に現金が動いたということを示すものに過ぎないので、入出金履歴だけで、①や②のような弁解を覆すことは困難です。

4. 弁解されても太刀打ちできる証拠を

それでは、①や②のような弁解を覆すために、どのような証拠が必要でしょうか。

ここは、具体的な事情により、様々なバリエーションがあり得ます。

たとえば、①について、会社の口座の入出金処理をする場合には、会社に設置された特定のパソコンを使用しており、使用者ごとにパスワードが割り当てられていて、そのパスワードは本人以外の人は知り得ないという場合であれば、そのパソコンのログを解析することにより、パスワードの入力履歴が明らかとなるかもしれません。

あるいは、自宅のパソコンから遠隔操作で会社に設置されたパソコンに接続し、入出金処理をしていた場合、どのIPアドレスから会社のパソコンにアクセスがあったかを調べれば、誰が入出金処理をしたかが分かる場合もあるでしょう。

また、②については、不正出金直後にXが高級ブランド店で買い物をしていた証拠や、X名義の別の口座に、会社から入金された金額に近い金額が入金されていたという証拠があれば、太刀打ちできるかもしれません。

これらの証拠は、事案により様々ですし、警察ではない一般人の方が入手することは困難なものも多くあると思われます。

そのようなときこそ、刑事事件の経験豊富な元検察官弁護士率いる横領対策チームにご相談いただき、どのような証拠を集めることができるのか、知恵を絞っていきましょう。

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