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1 横領には大きく2つの時効が問題となる。

 皆さんは横領と時効の問題について考えたことはありますか。

 当然横領にも時効が存在しますが、そこには2つの種類があります。1つは、横領犯を刑事訴追することができなくなる公訴時効、もう一つは横領犯への賠償請求などの民法上の請求権を失う民事消滅時効です。

2 公訴時効

 「公訴時効」とは、犯罪後一定期間が経過することにより、刑事訴追(起訴)ができなくなる制度のことです。公訴時効の制度趣旨は、時の経過に伴う証拠の散逸により公正な裁判を維持することが困難になることや、時の経過に伴う被害者及び社会の処罰感情の希薄化、時の経過によって形成された事実状態の尊重などが挙げられています。

 横領犯の公訴時効は、単純横領罪と業務上横領罪の場合で異なります。単純横領罪は犯罪行為から5年、業務上横領罪は犯罪行為から7年で公訴時効が完成します。公訴時効が完成した場合、検察官は、もはや犯行の事実や犯罪者が誰であるかを特定したとしても刑事訴追して裁判所に刑罰の適用を要求することができなくなります。

3 民事消滅時効

 横領を巡るもうひとつの重要な時効が民事消滅時効です。民事消滅時効とは、民事上の請求権が時の経過に伴って消滅する制度です。消滅時効の時効期間は、請求権の種類によって異なります。

 横領の場合、考えられる債権は、民法709条に基づく不法行為を理由とする損害賠償請求権か、民法703条・704条を理由とする不当利得返還請求権です。この場合、この二つの請求権は「請求権競合」と呼ばれる関係に立ち、被害者はどちらの請求権を行使しても構わないが、両者の請求権によって給付(支払い)を得ることはできないこととなります。

 このような観念的競合の概念が認められる実益の一つが時効期間の違いです。民法709条に基づく不法行為を理由とする損害賠償請求権は、横領犯が誰かを知った時から3年で消滅時効が完成しますが、民法703条・704条を理由とする不当利得返還請求権は、横領行為の時点から10年間で消滅時効が完成します。このように二つの請求権は時効期間のほか、時効の起算が開始される時期に違いがあり、被害者は自らにとって有利な方を選択することができます。

4 弁護士法人グレイスは横領問題の解決を得意としています。

 弁護士法人グレイスは、全国600社を超える企業様の法律顧問を務めており、そこで培ったノウハウを用い、横領問題の解決を得意としている法律事務所です。

 横領被害の回復や、横領被害の予防に関心のある経営者の方は、ぜひ、当事務所にご連絡ください。

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