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2025年3月13日

横領と着服の違い

 横領と着服。いずれもよく耳にする言葉ですね。会社のお金を「横領された」と言っても、「着服された」と言っても、さほど違いはないようにも感じます。実際、日常会話の中では、これらを使い分ける必要はないでしょう。

 ただ、法律的には、この2つの言葉の意味は、かなり違います。「横領」は、「横領罪」として刑法に規定されている言葉であるのに対し、「着服」には、そのような規定はありません。そして、横領罪でいう「横領」の方法の1つが、着服です。

横領と背任との違い

 さて、横領以外にも、会社に財産的損失を生じさせる犯罪はあります。その一つが、背任罪です。

 背任罪は、「他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。」(刑法247条)という規定によって定められています。なお、会社取締役等の役職者が同様の行為をした場合には、特別背任罪(会社法960条)が成立し、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこれら両方の併科に処されます。背任罪の方が、横領罪や業務上横領罪と比較して、法定刑がやや軽くなります。

 それでは、横領と背任との違いは何でしょうか?犯罪の分類・区別は、細かな定義・概念によって詳細に判断されるのですが、ここでは簡単にご紹介します。

 一般に、横領罪は現実の「物・現金」を不法に領得した場合に成立するもので、それ以外の会社の任務に違反する行為(任務違背行為)によって会社に損害を与えた場合に成立するものが背任罪として区別されます。分かりやすく説明しますと、会社所有の物品・現金等を実際に盗った場合には業務上横領罪(又は窃盗罪)が成立し、物品を盗まずに会社に損害を与えた場合には背任罪が成立するといえます。

 例えば、銀行の融資担当者が、貸付相手について充分な与信審査をせずに融資を実行し、これが貸倒れになって銀行に損害を与えた場合などには、背任罪が成立する可能性があります。また、会社の取締役が自己の親族に何らの担保も付さずに金銭を貸す契約を結び、結果として会社に損害を与えた場合には、特別背任罪が成立する可能性があります。

横領と詐欺との違い

 また、横領と近い犯罪としては、詐欺罪もあります。

 詐欺罪は、「人を欺いて財物を交付させた者」と、同様の方法によって「財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者」に成立する犯罪で、「十年以下の懲役に処する」こととされます(刑法246条1項、2項)。詐欺罪の法定刑は、業務上横領罪と同じですので、詐欺罪と業務上横領罪の罪状は同程度の重さであるといえます。

 詐欺罪はイメージのとおり、人に虚偽の事実を伝えて騙し、相手方が保有している金銭・物品・役務などを得る犯罪です。これに対して横領罪は、自分が預かっている金銭・物品をそのまま自分のものとしてしまう犯罪でして、この点に両者の違いがあります。このため、以下のような事例には、横領罪ではなく詐欺罪が成立することとなります。

  • 会社経理を騙して会社の金庫から金銭を出させて受け取り、盗んだ場合
  • 会社の担当者に虚偽の通勤経路・通勤方法を申告して、必要以上に通勤手当・通勤交通費の支払いを受けた場合
  • 会社に対して虚偽の経費を申告し、必要以上に経費立替費用の支払いを受けた場合

 これらの場合には横領罪(業務上横領罪)は成立しませんが、会社に対する詐欺罪が成立する可能性があります。こういった場合にも、警察への通報・弁護士への相談等の対応を取る必要があるでしょう。

着服の例 ~問われる可能性のある罰則~

 さて、それでは着服など、従業員による財産犯罪の例についてご説明します。既に少しご説明しましたが、よくある着服の例は以下のようなものとなりますので、問われる可能性のある罰則と共にご紹介します。

業務上横領罪の例

 業務上横領罪は、業務上、自己の占有する他人の物を横領した場合に成立します。このため、例えば、以下のような事例においては業務上横領罪が成立することとなります。

  • 経理担当者が、自身が管理する現金を着服した場合
  • 営業車として指定されている社用車を、会社から許可を得ずに、業務外で利用した場合
  • 取引先との窓口を務める者が、架空の取引を計上・記録し、商品・備品の売却代金を着服した場合

 このように、何らかの業務上の地位に基づいて保有している会社財産を自己の物としてしまったり、自己の物として利用したりすると、業務上横領罪が成立する余地があります。

 会社従業員の横領事例においては、会社から貸与された物品を着服して売却してしまう例が散見されます。このような場合には、会社従業員は会社に対して貸与品を「無くした」、「紛失した」などと届け出て再度貸与を受けることが多いです。最近会社従業員からの貸与品紛失の申出が多いなと感じた際には、注意が必要でしょう。

窃盗の例

 他方で、横領罪とは異なり、他人が占有する物を盗んだ場合には、窃盗罪が成立します。例えば以下のような事例では、横領罪ではなく、窃盗罪が成立することとなります。

  • 従業員が他の従業員のデスク・ロッカーから物品を盗って、自己の物として利用した場合
  • 従業員が、金庫の鍵を用いて会社金庫から現金等を盗んだ場合
  • 従業員が、会社の預金口座から勝手に金銭を引き出して自己のために利用した場合

 これらの事例においては、あくまでも自己の管理外の物品を盗っているという点が窃盗罪になるポイントといえます。自己の管理下にある物品を盗る横領罪とはこの点で違いがあります。

 横領は、無くなった物品の管理者が犯人であれば特定がしやすいですが、他方で窃盗の場合、盗んだ犯人が誰であるかという点についての証拠集めに難しさがあります。窃盗か横領かは、被害が発覚した時点では分からないことが多いでしょうから、会社物品に関する被害が生じた場合には、いずれにしても弁護士に早期にご相談いただく方が良いでしょう。

詐欺罪の例

 詐欺罪が成立するような事例については、既にご説明したとおりですが、他にも、以下のような事例が挙げられます。

  • 会社名義のカード情報を用いて、従業員個人の私的なネットショッピングによる購入をした場合
  • 会社が取得した顧客等の個人情報・クレジットカード情報等を用いて、従業員個人の私的なネットショッピングによる購入をした場合
  • 会社のインターネットバンキングシステムにおいて、会社の許可なく、会社から従業員個人宛ての送金処理を行った場合

 これらの場合には、詐欺罪の中でも、電子計算機使用詐欺罪というコンピューターシステムに虚偽の情報を入力する方法による詐欺罪が成立します。この場合も、詐欺罪同様に10年以下の懲役刑が科されることとなります。

 電子計算機使用詐欺の場合、インターネットシステム上に各種証拠が残りやすいので、不正が発覚した場合に早期の対応をすれば、従業員個人の責任を追及することが期待できるでしょう。

背任罪の例

 背任罪が成立するような事例についても既にご説明したとおりとなります。更に事例をご紹介しますと、以下のとおりとなります。

  • 取締役が会社資金を用いて個人の借金返済を行い、会社に損害を与えた場合
  • 会社従業員が会社内の企業機密を競業他社に漏洩し、会社に損害を与えた場合(この場合は不正競争防止法違反ともなり得ます。)
  • 営業担当者が、取引先からの接待やリベートを目的に会社に不利な契約と結び、会社に損害を与えた場合

 背任罪(特別背任罪)は、このような場合にも成立します。いずれの事例においても、会社に損害を与えることが必要とされることに特徴があります。これらの事例に遭遇した場合も、「会社に損害が発生している」という点の証拠収集・立証に難しさがありますので、ぜひ、弁護士へのご相談をご検討ください。

横領・着服・背任・詐欺かな?と思ったら

このように、企業が受ける横領などの被害には、簡単にイメージできる着服や持ち逃げのほかにも、様々な方法があります。方法は様々ですが、共通していることは、 「勝手にまたは騙して自分のものにされる、あるいは、自分の所有物であるかのような処分される」という点です。
このような行為に当てはまると思われる場合には、横領に詳しい弁護士に相談してみましょう。
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【著者情報】


2001年 京都大学法学部 卒業

2014年 ボストン大学ロースクール修了(LL.M. in Banking & Financial Law)

北陸電力株式会社、検察官を経て、2007年に弁護士となる

以後約16年間シティユーワ法律事務所に所属し、2023年より弁護士法人グレイスにて勤務

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