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刑事告訴とは:横領事件に対する法的対応

 横領加害者に刑罰を受けてほしい場合、捜査機関に告訴をするという方法があります。告訴とは、被害者が警察などの捜査機関に対し、犯人を処罰してほしいと申し出ることを指します。

 告訴が受理されると、警察が捜査を開始します。警察が物的証拠を集めたり、犯人や関係者の取調べなどを実施したりして、一通りの捜査が終わると、その事件は検察庁に送られます(送検)。このとき、犯人が逃げたり証拠を隠滅したりするおそれがあるなどと判断された場合には、横領加害者が逮捕されることもあります。

 事件が送検されると、今度は検察官が捜査の指揮を執り行います。検察官が自分で犯人や関係者を取り調べたり、警察に追加の捜査を指示したりして、捜査が続きます。検察官は、最終的には、その事件を起訴するか、不起訴にするかを判断します。

 検察官が横領加害者を起訴した場合、手続は刑事裁判へと進み、裁判所が横領加害者の有罪・無罪、そして有罪である場合には横領加害者に科すべき刑罰がどの程度か、審理することになります。横領加害者が有罪になれば、横領加害者に対し、懲役刑・罰金刑などの刑罰が言い渡されます。

他方、横領加害者が不起訴になった場合には、刑事裁判は開かれません。

 このように、告訴は、警察に捜査をするよう促し、横領加害者に有罪判決を受けさせるきっかけとなる行為です。

 なお、告訴と似たものとして告発がありますが、これは、被害者以外の人物が、犯人を処罰してほしいと申し出ることをいいます。

告訴状の提出と注意点

では、そもそも告訴はどのように行うのでしょうか。

 告訴の方法については、刑事訴訟法241条1項により、「書面又は口頭で検察官又は司法警察員(≒警察官)にこれをしなければならない。」と規定されています。しかしながら実務上は、告訴をする際には、告訴状という書面を警察署に提出することとなります。

 告訴状には、概ね、①告訴する者の表示、②告訴対象者の表示、③告訴対象となる犯罪事実の摘示、④告訴の根拠となる事実を記載した上で、証拠資料を添付して提出します。ここでは、法律上どのような事実があれば犯罪に当たるかを理解し、この理解に基づいて犯罪事実を指摘すること・証拠資料を収集してこれに即した事実経緯の説明をすることが求められます。

 告訴状に不備があると、告訴が受理されない可能性が高まりますから、告訴をする際には、法律の専門家である弁護士に依頼をすることを強くお勧めします。ご自身にて告訴状を作成すると、時間的コストも要しますし、告訴が受理されないリスクも高まってしまいます。

 このように作成した告訴状を警察署に提出する際には、告訴状を郵送するパターンと、直接持参するパターンがありますが、どちらにしても、即日受け付けるのではなく、警察において告訴状の写しを取って検討をすることが一般的でしょう。その後、警察との打ち合わせ・警察署と検察庁とでの検討などがなされたのちに、正式な告訴状受理手続に移ります。

 この際の警察との打ち合わせ時には、警察と対等に、刑法・刑事訴訟法その他必要な法令を熟知して協議をしなければならないことに注意が必要です。そうでなければ、警察署で門前払いを受けてしまい、いつまで経っても告訴状が受理されないという状況も起こり得ます。ここでも、法律専門家である弁護士の助力が必要不可欠といえるでしょう。

 また、警察との打ち合わせ時に民事上の損害賠償請求・不当利得返還請求の話をすると、途端に「民事不介入」と言われて警察に嫌な顔をされることもあります。民事上の金銭請求は相手方にのちにすれば良いので、警察ではこれらの話はしない方が無難といえるでしょう。

告訴の受理と判断基準

 このように、告訴は、捜査機関に対し、「捜査をしてほしい。」と訴えることです。しかしながら、上述したとおり、どのような告訴であっても受理、つまり、捜査機関に受け付けてもらえるわけではありません。たとえば、犯罪にならない行為について告訴をしても、警察は受け付けません。また、犯罪になりそうではあるものの、それを認めるための証拠がないことが明らかな場合には、やはり受け付けてくれません。

 刑事訴訟法の建前としては、犯罪が成立しそうだと考えられる場合には、警察は告訴を受理しなければならないのですが、実際には、警察はなかなか告訴を受理しません。本来は犯罪の疑いがあれば警察がこれを捜査するのですが、告訴についてはこのような実態があるのです。

 そのため、警察に告訴を受理してもらうためには、どのような事実が犯罪に当たるのか、それに関する証拠はどのようなものがあるかを、法的に的確に整理して主張する必要があります。また、告訴状に記載された事実と証拠との結びつきも適切に整理しなければなりません。この作業は、非常に専門的で労力を必要とするため、法律の専門家である弁護士に依頼する方が、うまくいく可能性は格段に高まります。

 無事に告訴状が受理されれば、捜査機関による各種取調べ・加害者の検挙手続が進みます。横領加害者を逃して泣き寝入りすることのないように注意しながら告訴手続を行いましょう。

告訴するにあたり弁護士に依頼するメリット

 告訴するにあたって弁護士に依頼するメリットとしては、以下のようなものが挙げられます。

① 告訴受理の可能性が高まる

 既にご説明しましたとおり、告訴状作成・提出、警察との打ち合わせを弁護士に任せることができますから、告訴受理の可能性が格段に高まります。これがやはり法律専門家に任せる最大のメリットといえるでしょう。

② 時間的コストを削減できる

 また、本来は告訴状の提出やこれに伴う準備は、業務外の事象であって、会社の利益向上のための活動ではありません。企業経営者であれば、このような業務はアウトソーシングしてしまい、より企業体の利益を向上させるための活動に時間を割くべきです。

 弁護士に告訴手続を依頼することで、このような時間的コストを削減することが望めるでしょう。

③ 刑事手続と併行して、損害賠償請求・不当利得返還請求、懲戒処分などの手続を安心して進めることができる

 弁護士に刑事手続を依頼することで、会社内での懲戒処分の有無・内容の適否や、損害賠償請求・不当利得返還請求などの金銭的請求交渉等まで含めた俯瞰的な視点からのアドバイスを受けることができます。これによって、横領加害者に対し、安心して断固たる対応をとることができるでしょう。やはり弁護士の後ろ盾を得た上で各種手続を進めていくべきです。

まとめ

 以上のとおり、横領加害者を処罰するための告訴手続のポイントを見てきました。告訴状を受理してもらって捜査を開始させ、これによって横領加害者に適切な刑罰が科されることを望むのであれば、必ず弁護士の助力・助言を得てください。刑事手続に習熟した弁護士への依頼こそが、かえって告訴状受理への近道になるはずです。

 当事務所では、これまでに多くの顧問先企業の横領事件の相談対応をしてきた実績があるため、どのような事実に着目すればよいかや、どのような証拠があれば警察が捜査を開始しそうかなどについて、実務経験を踏まえてより的確に判断することができます。横領加害者に関する告訴手続などでお困りの方は、ぜひ当事務所までご相談ください。

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