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2025年8月8日

【著者情報】

様々な業務上横領に関する相談・解決をサポートしてきた豊富な実績があり、検察官として業務上横領の捜査・公判に従事した経験を持つ弁護士も在籍。企業・経営者向けの顧問サービスに強みを持ち、約750社の顧問先企業を有する(2025年9月時点)。また、「社外法務部」という名称で主に中小企業に法務のアウトソーシングサービスを提供している。横領・着服・背任等不正行為、従業員の解雇や問題社員対応などの労働問題、契約書・債権回収・損害賠償請求などの取引をめぐる紛争、不動産の取引に関する紛争、法人破産、M&Aや事業承継などを対応。

 従業員による横領にお困りの企業は、意外に多いです。この中でも、複数の従業員が協力して共犯者(幇助犯)の立場として関わっているような規模の大きい横領被害に遭った場合には、口裏合わせを防ぐなど、対応に注意が必要です。

 従業員が他の従業員の横領に加担した場合、企業には、迅速かつ適切な対応が求められます。ここでは、横領に加担した従業員への対応手順と、共犯(幇助)が成立するポイントについて解説します。

横領に協力した従業員(横領の共犯者)への対応

 横領の共犯が疑われる従業員への対応は、慎重に進める必要があります。

社内調査

 まずは事実関係を正確に把握するための社内調査が不可欠です。横領の疑いがある行為の具体的内容、関与したとされる従業員の役割、期間、金額などを調査しましょう。ここでは、証拠の確保もしながら調査を行う必要があります。

 具体的には、関係者からの聞き取りや、関連資料(会計帳簿、契約書、現金出納簿、メール・LINEなど)の精査を行うこととなります。この際には、関係者・共犯者に口裏合わせ・証拠隠滅をされることを防ぐために、客観的証拠から先に収集しましょう。

就業上の一次的対応

 また、調査中に証拠隠滅やさらなる被害拡大を防ぐため、犯行が疑われる従業員に対し、自宅待機命令や配置転換などの一次的な対応を検討します。

 ここでは、懲戒処分を下すのではなく、あくまで調査のための一時的対応であることを明確にする必要があります。

弁明・意見聴取の機会を与える

 調査の結果、共犯の疑いが濃厚になった場合でも、すぐに処分を下すのではなく、必ず当該従業員に弁明の機会を与えなければなりません。本人の言い分を十分に聞き、反論や新たな情報の有無を確認することは、適正な処分を下す上で非常に重要ですし、この機会を確保していない場合には、のちの懲戒処分が無効となる可能性が高いです。

幇助内容に応じた適切な処分

 弁明内容も踏まえ、共犯(幇助)の具体的な内容や関与の程度に応じて、後述する懲戒処分を検討することとなります。どの程度の処分が許されるかは、具体的事例と過去の裁判例を踏まえて検討することになりますから、ぜひ弁護士にご相談ください。

横領の共犯が成立する要件

 横領の共犯としての幇助犯が成立するためには、以下の要件を満たす必要があります。なお、幇助(ほうじょ)犯とは、主犯として犯罪をする人に手を貸す共犯者を指します。

主犯が存在していること

 まず、実際に横領行為を行った主犯が存在していることが前提となります。

幇助行為があったこと

 また、幇助行為として、以下のように、主犯の横領行為を容易にする何かしらの行為があることが必要となります。

物理的幇助

 まず、主犯が横領を行うために必要な物品を提供したり、場所を提供したりするなど、物理的に手助けする行為が挙げられます。例えば、不正な会計処理を行うためのシステムアクセス権限を与えたり、金銭を持ち出す際に手伝ったりすることなどが該当します。

精神的幇助

 次に、主犯に対して、横領を行うよう励ましたり、助言を与えたり、安心させたりする行為が挙げられます。例えば、「バレないから大丈夫。」、「私がサポートするよ。」といった言葉で、主犯の犯行意思を強固にさせるような行為が該当します。

故意の幇助意思があったこと

 また、幇助行為を行った者が、主犯が横領行為を行うことを認識し、それを手助けする意思を持っていたことが必要です。「知らなかった。」、「意図していなかった。」という弁解が認められるかどうかは、その他の客観的状況によって判断が分かれます。

幇助が成立するポイント

 上記の点は法律上の視点からの整理ですが、具体的事実から従業員の行為が幇助に該当するか否かを判断する際には、以下のポイントを総合的に考慮して判断することとなります。やはり、弁護士に事情を説明して判断するべき事項とはなります。

 調査をする際にも、以下のポイントに関する証拠を集めるべきです。

どのような行為で“協力した”のか?

 まず、具体的にどのような行為で横領に協力したのか、その内容が重要です。意図的な加担なのかどうかを明確にするべきでしょう。

関与の頻度

 次に、一度限りの関与なのか、継続的に関与していたのかによって、幇助の悪質性が変わってきますから、この点も重要です。頻度が高いほど、幇助の故意が強く推認されやすくなります。

違法性の認識

 当該従業員が、自身の行為が横領に加担する違法な行為であると認識していたかどうかも、LINE・メール等から明らかにできると、なお良いです。違法性を認識していたにもかかわらず協力した場合は、幇助であると指摘しやすくなります。

見返りの有無

 横領行為に協力することで当該従業員が金銭的な見返り(リベート・報酬)を受け取っていた場合、幇助としての関与の度合いが高まります。

立場と影響力

 また、当該従業員の役職や、社内での影響力も重要な判断材料です。例えば、経理部の責任者が不正な会計処理を黙認・指示していた場合と、新入社員が上司の指示に従っただけの場合では、関与の度合い・責任の重さが異なることは明らかでしょう。

横領を幇助した従業員への処分

 横領を幇助した従業員に対しては、複数の処分を検討できます。

懲戒処分

 就業規則に基づき、以下の懲戒処分を検討することとなります。幇助の内容や悪質性、会社への損害の大きさなどに応じて段階的に重くなります。

戒告・けん責

 まずは、比較的軽微なケースで、将来を戒める処分です。始末書を提出させたり、口頭で注意したりします。過失的に横領に関与した従業員への処罰として選択することが多いでしょう。

減給

 給与を一定期間減額する処分です。ここからは、故意に、ある程度の強度をもって関与した者や、横領を黙認していた上司などに下す処分といえます。

出勤停止

 一定期間、労働義務を免除し、その間の給与を支払わない処分です。

諭旨解雇

 退職を勧告し、応じない場合は懲戒解雇とする処分です。退職金の支給を伴う場合が多いので、従業員も応じやすい処分といえます。

懲戒解雇

 最も重い処分で、即時解雇となります。退職金は原則として支給されず、再就職にも大きな影響が出ます。主犯に近い振る舞い方をしていたり、多くの報酬を得たりしている場合には、主犯と共に、懲戒解雇を下すべきでしょう。

損害賠償請求

 会社が被った損害(横領された金銭など)については、当該従業員に対して損害賠償を請求することができます。この場合、主犯と共に共犯者にも連帯して損害賠償責任を負ってもらうこととなります。

刑事告訴

 また、横領は刑法上の犯罪ですから、幇助も横領罪の共犯として処罰の対象となります。会社として警察に刑事告訴することも検討できます。ただし、刑事告訴には証拠が必要ですから、弁護士の協力が不可欠でしょう。

まとめ

 以上のとおり、横領の共犯がいる場合の対応についてご説明しました。

 従業員が横領の幇助を行った場合、企業としては事実関係の正確な把握、適正な手続を確保した上での迅速な対応、そして今後の再発防止策の徹底が重要です。法的な問題も絡むため、弁護士へ相談することが必要でしょう。当事務所では、横領被害の予防・対応に注力しています。ぜひ、横領被害でお困りの際には、当事務所にご相談ください。

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