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2025年3月3日

 従業員の業務上横領という事態に遭遇した経営者には、早急な調査・断固たる対応が求められます。このような事態は発生しないに越したことはありませんから、企業体として従業員の不正を防ぐための内部統制システム・監視体制の策定・強化がなされることが望ましいといえるでしょう。

 以下では、立場別によくある横領の手口をご紹介しますので、従業員による不正を先んじて予防する体制構築にお役立てください。

経理担当者による横領の手口

 まず、経理担当者による横領の手口についてご紹介します。

 経理担当者は、会社の経理について取り扱うことに加え、会社の財産状況について多くの情報を保有することとなります。経理担当者の業務が円滑に行えるよう、経理担当者が会社の預金口座の暗証番号も知っているという会社は多いのではないでしょうか。

 このような経理担当者としては、経理不正や不正会計といった横領をする可能性があります。代表的な手口は以下のとおりです。

  • 自ら管理している会社現金・物品を自己の物としてしまう場合(業務上横領)
  • 会社名義の銀行口座から、経理担当者個人名義の銀行口座に、不正に送金をする場合(電子計算機使用詐欺・詐欺)
  • 自ら管理する金庫の鍵を用いて、会社の金庫から現金・物品を盗む場合(窃盗)

 このように、経理担当者は、自身に会社財産自体や会社財産に手を出す情報の管理権限があることを利用して横領する傾向にあります。こういった手口を防ぐためには、例えば会社名義の口座の暗証番号は会社代表者しか知らないようにする、会社の金庫の鍵は会社代表者自ら保管するなど、経理担当者の管理権限を弱める方向での対応が必要となるでしょう。

支店長や責任者による横領の手口

 次に、支店長や責任者による横領の手口をご紹介します。

 支店長や責任者は、経理担当者以上に会社財産に対する管理権限が強いため、以下のように、より大規模な横領を行う可能性があります。

  • 支店単位・事業所単位で、粉飾決算処理・財務不正処理を行い、会社の金銭を盗む場合(背任、業務上横領)
  • 支店・事業所の在庫品数について虚偽の報告を行い、勝手に流用・売却する場合(背任・業務上横領)

 こういった大規模な手口は、単独の支店長・責任者に強力な管理権限が与えられている場合に行われがちです。このため、会社としては、支店ごとに支店長クラスの管理者を2名以上配置するなどの体制構築をすることで、相当程度大規模横領を防ぐことが期待できます。また、支店ごとの在庫管理・会計処理を支店長以外の者に委ねるという対応もあり得るでしょう。

共同経営者や取締役による横領の手口

 次に、共同経営者や取締役による横領の手口をご紹介します。

 共同経営者や取締役は、会社財産をある程度自由に動かせることが多いでしょうから、会社財産を私的な行為や自身の親族(酷い事例では、自身の愛人)に利用する行為が手口として挙げられます。例えば、以下のような手口を挙げることができます。

  • 会社の預貯金を用いて、取締役個人の借金の返済に充てる場合(特別背任)
  • 会社の預貯金を、会社の許可なく、取締役個人やその親族などの近しい人物名義の預金口座に送金する行為(電気計算機使用詐欺)
  • 会社の財産(不動産や売掛金債権など)を会社に無断で担保にいれ、自己利用資金を借り入れる行為(特別背任)

 これらの行為は、会社財産に際限なく大打撃を与えうるもので、場合によっては会社の存続にまで影響を与えます。こういった行為は、まさに際限なく行われますから、発見次第、早急に対応する必要が高いです。

 どうしても共同経営者として会社財産に関する権限を与えることは避けられない場合が多いでしょうから、こういった行為に早急に気付ける体制を構築しておくことと、すぐに弁護士に相談することが重要といえます。

営業社員による横領の手口

 次に、営業社員による横領の手口をご紹介します。

 営業担当者は、会社からの外回り・取引先との会食等、会社経営者の目を離れることが多いので、外部者と連携して以下のような手口による場合が多いです。

  • 取引先からの接待やリベートを主たる目的に、会社に不利な契約を締結する行為(背任)
  • 取引先との間で架空取引を計上し、売上金・在庫品などを流用する行為(背任、業務上横領)
  • 営業行為について虚偽の経費を計上し、会社から余分に経費立替金を受領する行為(詐欺)

 これらの行為を防ぐためには、取引先ごとに担当者を2名以上付する、取引先との契約内容・在庫変動を確認する担当者を別途用意するなどの複数対応が必要となります。

レジ担当従業員による横領の手口

 最後に、レジ担当従業員による横領の手口をご紹介します。

 レジ担当従業員が行いがちな横領行為は、まさにイメージどおりの以下のようなものとなります。

  • レジを締める際に、レジ内の現金を盗む場合(窃盗)
  • 売上金を集約する際に、レジから移動する現金を盗む場合(業務上横領、窃盗)

 これらの行為は、発覚すればレジ担当者・レジ締め担当者が特定できるため、犯人特定がある程度容易にできます。それでも横領行為について白を切る従業員も多数いますから、レジが適切な角度から移るように防犯カメラ・関しカメラを設置することをお勧めします。そうすることで、客観的な証拠を確保することができるでしょう。

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